極東の地に現れた怪人を操る秘密組織。
それに対抗するべく作り出された改造人間兵器。
小さな島国で行われる、戦争にも似た勢力抗争に、自由と正義を騙るあの国が黙っているだろうか。
ましてや、自軍のいくらかを日本には貸し出しているのだ。
横から口を挟む理由など、いくらでも用意できた。
大国アメリカ。
ライダー部隊と怪人たちの争いが佳境に陥り始めたころ、あの国は横槍を入れ始める。
安保と日本国内駐留中の自国民の保護を理由に、彼らは中東の国々にそうしたように、日本に多数の軍隊と、数々の大量殺戮兵器を持ち込む。
しかし、怪人一体を倒すのに彼らでも重装備させた一個中隊を差し向けなければならなかった。
あまりに対戦力比が違いすぎる。
そこで目をつけたのが、怪人たちと互角以上に戦い、優勢を見せているライダー部隊である。
彼らは共同戦線を理由に、ライダー改造技術の提供を求める。
ライダーへの改造は、日本にとって最高機密の兵器開発技術である。
そう簡単に渡せるはずがない。
すると米国は暗に武力による脅迫を仕掛け始めた。
東京湾に停泊している海上空母には、核兵器が搭載されているという噂もある。
強い態度には出れないが、それでも政府は拒絶を続けた。
しかし、米国側から日本の抱える負債、不渡りの肩代わりを提案されると、国会内部で米国協力の声が高まり始めた。
政治家たちにとっては怪人たちによる世界征服よりも、経済による国家破産のほうが恐ろしかったらしい。
そしてライダー部隊は研究成果、研究員、戦闘員を含めすべて米軍に譲渡される。
これがキングビートルがライダー部隊を離脱する大きな原因となった。
渡された改造技術の資料を見て、米国側はこれでは駄目だと言った。
ライダー一人を作り出すのに、コストも時間もかかりすぎる。
彼らが求めるのは、より早く、より多く、より安価で、より高性能な兵器である。
そこで、彼らが研究していたナノマシン技術を取り込むことが提案された。
短時間で全身を同時に改造する案、有機ナノマシン(リンパ球タイプ)を利用した全身を総入れ替えする案など試行錯誤を重ねた結果、必要時に肉体組成を変化させるタイプに決定した。
より早く、より多く、より安価で、より高性能な兵器。
この新型ライダーへの改造手術は、肉体組成構造を変化させるナノマシンを注入させるだけ、全身に行き渡り安定するまで一時間弱。それ以降は使用者の細胞が発するエネルギーを利用して再生と増殖を繰り返す。
加えて外部コントロールシステムであるベルトを装着するだけで、この新たなライダーは完成する。

アンティ・ライダー。
その名は、モチーフとなった兵隊蟻と、日本側の開発したライダーへのアンチ(反)の意味もあったのだろう。
短時間で大量生産されるライダーシステムは、瞬く間に米軍に広まった。
レーニングで得られる基礎体力の限界を、簡単に突破できる身体組成。
外皮変化による、生身での銃弾への耐性。
なによりコミックヒーローのような変身システムが、正義の軍隊は特にお気に召したようだ。
彼らの登場により、今までのライダーたちは活躍の場を失い、次第に戦線から離れはじめる。
隊員たちの中には国によって売り渡されたショックが強く、早々に部隊を離れたものもいた。
そんな元ライダーたちが次々と行方不明となる。
彼らの大半はライダー部隊と国に反旗を翻し、秘密組織の一員として米国に立ちはだかったのだ。
残りの半分は有象無象の群集の中に溶けて行ったか、あるいは危険分子として国に処分されたかである。
ごく少数ではあるが、骸に合流した者達もいたようだ。
そして仲間を多く失い、秘密組織に向けて最後の攻撃に向かった骸に合わせて、米軍も一万人強のライダー部隊を率いて秘密組織の本部を襲撃する。
危険分子である秘密組織と、骸の殲滅を目指して。


こんな感じですわ。
それにしても今回はほとんどコピペなのに滅茶苦茶疲れました。
では、次回最終回です。
ラスボスはアナログ作業が辛い……