仮面ライダーディケイド 異聞Ended to DECAID

ハイパー化したサソードの前に成す術もないディケイドたち、そこに助太刀として現れたディエンド。
彼は士たちに、ワームとの最終決戦のために開発されたお宝――「パーフェクトゼクター」の情報をもたらす。
そしてその力は、今度こそ人類とワームの双方を滅亡に追い込むだろう事を。
パーフェクトゼクターを奪取するために、ZECTの本拠地へ乗り込もうとする士たち。
そんな士の背に、なぜこんな世界のために命をかけるのかを問うソウとアラタ。自分が引き金となったのなら、その銃弾を受け止める覚悟があるという士。そして、そんな世界でもなお生きようとするソウ達ライダーが目指していたものを思い出してみろと。
ソウと、アラタの脳裏には、同時に一人の男の生き様が映っていった。天の道を行く、偉大なる男――
ZECTの本部にて、ハイパードレイク、ハイパーザビーの執拗な猛攻を切り抜けたディケイド、クウガの目の前に現れたのは、死んだはずの仮面ライダーカブト、日向ソウジだった。
だが、男の姿はすぐに五ツ木マサトの姿に変わる。ZECT総帥だったアラタの父を殺し、ZECTの全権を握ってライダー達のハイパー化、そしてパーフェクトゼクターの開発を進めていたのは彼だったのだ。
人類を都合よく導くためといって、彼はその体をワームに改造し、擬態能力を使って日向ソウジに成りすまそうとしていたのだ。
ダークカブトへ変身し、剣型のパーフェクトゼクターを使ってディケイドとクウガを追い詰めるマサト。
ZECT本拠地の中庭へと追い込まれ、切り抜けたはずのドレイク、ザビー、そしてサソードまで現れたその時、ガタックとホッパードが救援へと駆けつけたのだ。
烏合の衆と笑うダークカブトだが、その手からいつの間にかパーフェクトゼクターは消えていた。
そう、インビジブルのカードで姿を隠したディエンドにまんまと奪われてしまっていたのだ。
だが、含み笑いをもらすダークカブト。
「その程度の力が、本当にワームどもを滅ぼす最終兵器だと思ったのか?」
本部から発振する、一台の巨大なバイク。その操縦席にダークカブトがまたがると、その前進を包み込むように人型機動兵器へと姿を変える。
それに呼応するようにハイパー化するザビー、ドレイク、サソード。巨大なゼクターの姿となった3体のライダーはダークカブトが搭乗した機動兵器へと合体していく。
そう、士が関ったことで「パーフェクトゼクター」の完成形も歪んでしまっていたのだ。
ハイパー化した三人のライダーと合体し、ダークカブトを含めてその力を引き出す大量破壊兵器

この姿を仮面ライダーZECTと呼ぶ。
あるいはマサトが名乗ったように、パーフェクトカブトとも。
下半身となっているサソードの中距離、右肩に装着されたドレイクの遠距離、左手に装備されたザビーの接近距離と、死角の無いパーフェクトカブト。
さらに、カブトパワーを引き出すことにより、都合4つのハイパーゼクターを共鳴させて、この巨体でなおクロックアップを使いこなしていた。
戦力差の前に膝をつくディケイドたち。
「貴様らはそうして、地面の上に這いつくばっているのがお似合いだ。日向ソウジの歩んでいた天の道、そこにいたる絶対的な力を我々は手に入れたのだ!」
「黙れ……!」
ただ一人、変身が解除されてもなお、士だけが立ち向かう。
「天の道を歩く前に、立つべき地面がある。進むべき人の道がある。天にそびえる太陽を目指しながら、地獄に落ちてなお、そこを目指そうとした男達がいる」
「はっ、そいつらを地獄に落とした張本人の貴様が言うか!?」
「だからこそ、その地獄から這い上がってきたこの二人の強さが俺にはわかる。誰よりも太陽に焦がれ、その太陽を理想として、人の道を取り戻してきたこの二人こそ、世界を導いていく光を放っているんだ! 形だけを振りかざし、力だけを追い求め、自分達だけの理想を押し付けるお前達に、天の道を進む資格はない!!」
「……貴様、何様のつもりだ!」
「通りすがりの仮面ライダーだ! 覚えておけ!」
そしてまたディケイドへと変身する、士。その手にはホッパーと――
「士、青いライダーなら僕に任せたまえ」
ディエンドに奪い取られたガタックのファイナルフォームライドカードがあった。
「ユウスケにも、たまには僕から力を貸そうか?」
ディエンドによってファイナルフォームライドさせられるガタック、そしてクウガ
二体の巨大クワガタが、クロックアップ時にはガタックがバルカンの支援砲撃を混ぜながら超高速で攻撃を加えていく。
そして、ディケイドもホッパーをファイナルフォームライドさせ、ホッパーゼクター型の巨大なアンカージャッキを腕に装備する。
アンカーを地面に打ち込んでの真横方向へのライダージャンプによる超加速、そしてアンカーの先端でパーフェクトカブトの真芯を捕らえ、ライダーパンチで天高くその巨体を打ち上げる。
そして、ファイナルカメンアタックフォームライドのカードで、ディケイド、ホッパー、ディエンド、クウガガタック全員の力を限界まで引き出していく。
ホッパーアンカーを装着したディケイドがクウガゴウラムの背に乗り、ディエンドはゼクターガタックの背に乗り、中空を舞うパーフェクトカブトを、交錯しながらの幾何学軌道で追いかける。
ディケイドたちが近接攻撃を、ディエンドたちが遠距離支援をという形で波状攻撃を仕掛け、最終的にディエンドは地面へと降り、ディケイドはクウガゴウラムの背からさらに天空へと飛び上がる。
ガタッククウガの二体で落下を始めたパーフェクトカブトの頭部と足先をそれぞれくわえ込み、デスロールの要領で雑巾絞りにねじりあげる。
そこに胴体のど真ん中を狙ってディエンドが地上からドライバーでディメンジョンシュートを放ち、その対角射線上の真上から足にホッパーアンカーを装着したディケイドがライダーキックを叩き込み、アンカーを打ち込むたびに飛び上がっては、何度も何度もキックを放つ。
やがて、耐え切れなくなったパーフェクトカブトの全身が四散し、通常のライダーに戻ったザビー、サソード、ドレイクの3人には地上に降りたガタッククウガ、ディエンドの必殺技が、自由落下を続けるダークカブトには上空からライダー形態へと戻ったホッパー、そしてディケイドのダブルライダーキックが炸裂するのだった……