なんか昨日、唐突にライダーの話を考えた。
仮面ライダー骸。
悪の秘密結社が生み出した怪人に対抗するため、政府はかつての仮面ライダーを模倣して新しいライダーを生み出す。
最強の治安部隊として、民衆の人気を集め、秘密結社を追い詰めていくライダー部隊。
しかし、その過程において生み出された一つの影があった。
試作品。
実験体。
失敗作。
当事者の意思にかかわらず、仮面ライダーというヒーローを生み出すために、捨石にされた悲しき人間たちがいた。
不完全な改造のまま廃棄処分された彼らは、わずかな命を同じく実験体として捕獲された怪人たちの死体と融合することで生きながらえた。
彼らは塵溜めの中、復讐を誓った。
自分たちの身体を好き勝手いじくりまわし、挙句の果てに捨て去った政府に。
すべての原因となった、悪の秘密組織に。
そして自分たちの犠牲の上に立ち、ヒーローとして脚光を浴びる、仮面ライダーに。
死体の山から甦った彼らは、自分たちを「骸」と呼んだ。

仮面ライダーコクローチ。
飛行能力と、異常なまでの再生力を持つ骸のリーダーである。
骸のメンバーは彼の指揮の元、次々と怪人たちや仮面ライダー部隊を打ち破っていく。
それでも怪人を吸収した異形な彼らの姿と能力を、人々は受け入れることはなかった。
くせ者ぞろいの骸のメンバーを彼が統率できているのは、彼がメンバーの中でもっとも残酷で、冷酷かつ、非常であり、残忍であるが故である。
慙愧と復讐と憎悪に燃えるほかのメンバーたちも、彼の言葉にだけは肝を冷やす。
もともとは古多宣一という、警察官であった。
怪人との戦いで殉職しかけた後輩を救うために、臓器移植の手術を受けたはずであった。
しかし、実験体を欲しがる政府の陰謀により、ライダー改造実験の餌食となってしまう。
改造手術の応用により後輩の命は助かったが、宣一は二度とは見れぬ姿となる。
実験体として活用するために、異常なまでに生命力を強化され、どんなに苦しくて死にたくても、死ねない身体となる。
必要な実験のすべてが終わった後、焼却処分となったが、炉の片隅で彼はひっそりと生き残っていた。
そのまま炉の中で数度の焼却処分に耐え、脱出の機会を待ち続けていた。
怪人と融合したときに、生命力を強化するために組み込まれたゴキブリの因子が発現し、現在の姿になり、人間としての姿も取り戻す。
現在は骸のメンバーが住むアパートの管理人を勤める傍ら、喫茶店を経営している。
余談だが彼の喫茶店には害虫一匹現れない。だれも王には逆らえないのだ。


ってこんな話どうでしょう?